ドラえもん

神楽さん作 (挿絵 戒侍さん作)

この小説は創作小説で、アニメなどの「ドラえもん 」とは関係ありません
ジャイアン「おいのび太、ジュース買ってこい」
スネオ「あ、僕も!ダイエットコーラだからな、間違えんなよ!」
のび太「う、うん……分かったよ……」

いつの頃からだろう、彼らの僕に対する態度が笑えなくなっていったのは。
小学生の頃は、何だかんだ言って友達でいられたんだけれど、
中学に入ってからは、僕は完全に彼らのパシリになっていた。
机の中から、何でもできるロボットが僕を助けに来てくれる、だなんて、
そんな小さい頃の妄想も、今ではすっかり忘れてしまっていた。
しずか「出来杉さん!……ごめんなさい、待ったかしら?」
出来杉「いや、僕も今終わったところだよ。さ、帰ろうか」

長年思い続けてきたしずかちゃんは、中学に入ってから出来杉と付き合うことにな
った。
小学校と違い、勉強や部活で忙しいしずかちゃんは、
僕やジャイアンたちとはすっかり疎遠になっていた。
きっとしずかちゃんも、僕たちのような落ちこぼれにはほとほと愛想が尽きていた
んだろう。

のび太「買ってきたよ……オレンジジュースとコーラ」
ジャイアン「遅いんだよ、このバカ!!」

ジャイアンが容赦なく僕を殴る。
また痣が出来て、ママに疑われちゃうよ。

スネオ「あら?あららら!?おいのび太!ダイエットコーラだって言っただろ!」
のび太「ご、ごめんよ……すぐ買いに行くから許してくれよ」
スネオ「許してくれよ、じゃねぇよ!!」

スネオが容赦のない蹴りを入れる。
すきっ腹に思い切り食らった僕は、たちまち嘔吐した。

スネオ「うわっ、汚い。僕のオーダーメイドの制服についたらどうするんだ!」
ジャイアン「あー、腹減ったなぁ。おいのび太、お前の弁当寄越せ」
のび太「え、でもこれはママが作ってくれた……」
ジャイアン「なんだと?ぶん殴るぞ!」
のび太「ご、ごめん……分かったよ、はい」

昨日のテストで僕が珍しく赤点を取らなかったこともあって、
今日のお弁当はエビフライなんかが沢山入ってて、ちょっと豪華だった。
今朝早起きして、わざわざ僕のために作ってくれたのだった。

ジャイアン「げぇ、お前ん家のカーチャンほんと料理下手糞だな!」
スネオ「ほんとほんと、もう捨てちゃおうよ、こんなの」
ジャイアン「食えねぇ食えねぇ、ゴミ箱にでも入れておいてやろうぜ」

そして僕のお弁当は、僕の胃袋ではなく、生ゴミの袋の中に納まった。

放課後、トボトボと家に帰る。
ごめんね、ママ。あのテストは返してもらった後自分で直したんだ。
嘘ついてまで、せっかく作ってもらったのに、食べられなかったよ……。
知らず知らずのうちに涙がこぼれる。
向こうからしずかちゃんが近づいてくるのが見えた。
ここ数ヶ月、一度も話してもらっていなかったが、勇気を出して、声をかけてみる
ことにした。

のび太「しずかちゃ……」
出来杉「おい、のび太くん」

いつの間にかすぐ後ろにいた出来杉が声をかけてきた。
そういえば、こいつを話すのも久しぶりだ。

のび太「やぁ、出来杉じゃないか。久しぶりだね!」
出来杉「のび太くん、最近ずっと僕の彼女を影から覗いているそうだね」
のび太「そ、それは……」

辛いことがある度に、僕はしずかちゃんを見ていた。
そうすることで、生きていく勇気が沸いてきたからだ。

出来杉「しずかも気付いているんだ。正直言って、気持ち悪がっている。金輪際、
こういったことはやめてもらおう」
のび太「そんな!?」

僕のアイドルは、もういないんだ……。

ジャイアン「おうのび太、いい所で会ったな」
スネオ「ちょっと煙草買って来いよ!」
のび太「そ、そんなことできないよ!」
ジャイアン「なんだと?俺様に口答えする気か?」
スネオ「友達のいないお前に構ってやってるんだ、それくらいして当然だろ!」

結局僕は、煙草の自動販売機まで買いに行かされることになった。
もちろん、僕のお金で。
後ろのほうで、ジャイアンたちがニヤニヤしている。
お金を入れる。しまった、何を買えばいいのか分からないぞ。

???「貴様ァ!何をしとるかー!!」

見ると、そこには中学の担任の先生が物凄い形相で僕を睨みながら近づいてくる。

のび太「ちがっ、違うんです先生!ジャイアンたちが……」

振り向いた先には誰もいなかった。

先生「つまり、骨皮と剛田が嫌がるお前に無理矢理買わせたと、そういう訳か?」
のび太「そうです、先生……」

ここは職員室。
担任の先生だけでなく、沢山の先生が腕を組みながら僕を睨んでいる。

先生「剛田は将来を期待されている野球部のエース、骨皮は成績優秀の生徒会役員
だ。そんなことをする訳がないだろうが!!」
のび太「でも、本当なんです!信じて下さい!」
先生「お前のその成績で信じられると思うか?この間だって、万引きで警察のお世
話になったばかりだろうが」
のび太「ですから、それもこの間説明した通り……」
先生「また剛田、骨川のせいにするつもりか?けしからんっ!親御さんには連絡し
ておいたからな!!」
のび太「そ、そんな!」
先生「停学一週間だ。自宅で反省してなさいっ!!!」

パパ「この……ばかもんがッ!!!」

パパの鉄拳制裁が飛ぶ。
僕はたちまち吹っ飛ばされて、テーブルの足に頭をぶつけてしまった。

ママ「……信じられないわ、自分の子供が……」
パパ「一体どこで道を踏み間違えたんだ、この子は……」
ママ「……こんな子なんて……こんな子なんて、生まれてこなければ良かったの
よ!」
パパ「ママ!」
ママ「アンタなんて……最初からいなければよかったのよ!!」

僕はもう何も説明する気は起きなかった。
気でも触れたように笑い出す僕を、両親は可哀想な視線で見ていた。

やっぱり自分の部屋が一番落ち着く。
机のひきだしを開けてみる。
昔はここから、僕を助けてくれる、万能ロボットが出てくるだなんて、そんな妄想
ばかりしていたもんさ。
自分のバカさ加減と現実の厳しさに絶望する。
いくら勉強した所で、応用問題なんて解けるはずがない。
これは後で知ったことだが、僕の知能指数は常人よりも遥かに低いそうだ。
本当は生徒には教えてはいけないはずなんだけれど、小学校の卒業式に、学年主任
の先生からそう聞いた。
よほど僕のことが嫌いだったのだろう。
その上未熟児だったため、体も酷く弱い。
今でも一年に一度は風邪で死に掛けている。
もう、いっそ死んでしまおうか……。
そんな考えが頭に浮かぶ。
生きていても、楽しいことなんて何もないんだ。ならばいっそ……
誰か……誰か助けてよ……。

「助けてあげるよ?」

ふと気がつくと、すぐ後ろに誰かが立っていた。
のび太「君は……」
ドラ「僕の名前はドラえもん。呼び捨てにしてくれて構わない。未来から来た、猫
型ロボットさ」
のび太「ロボットだって!?一体、何が……」

だって、これは……僕が小さい頃に想像していた妄想そのものではないか!!

ドラ「そんなことはどうでもいい。君は今、助けて欲しいと願ったね?確かにそう
願ったね?」
のび太「……ああ」
ドラ「なら助けてあげよう。君が幸福を得るためには、君を今最も不幸にしている
奴を殺せばいいのさ」
のび太「こ、殺すって……!?君は一体何を言っているんだッ!?」
ドラ「簡単なことさ。君は自殺しようと考えていたんだろう?
   君が死ぬか、相手が死ぬか。その二択しか、君には選択肢はないのさ」
のび太「だからって、殺すなんて……」
ドラ「よく考えてみろよ。ジャイアンやスネオなんて死んだって構わない、そう思
ってるんだろう?」
のび太「どうして君が!ジャイアンたちのことを知っているんだっ!?」
ドラ「肝心なことはそんなことではない。殺るか殺らないか、それだけさ」
のび太「……」
ドラ「どうするんだ?」
のび太「……やる、やるよ……やってやるさ……あんな奴ら、いない方が世のため
なんだ……」
ドラ「ハハッ、それはエゴってもんだよ」

こうして……僕の復讐は始まった。
今思えば、ドラえもんとの出会ったこの時から、僕の運命は変わっていったのだろ
う。

星一つない暗い夜道だった。
2時間ほど待って、ようやくスネオを確認した。
街へ出ていたらしく、片手には有名ブランド店の紙袋を持っている。
僕が……僕が月500円のお小遣いでやりくりしているのに、
こいつはいつもブランドの服ばかり買っているんだ!
電柱に隠れて、少しずつ、少しずつ近づいていった。

サクッ……

包丁は、思ったよりも簡単に体の中へと入っていった。
地面にスネオがバタッと倒れる。

ドラ「そう……それでいいんだよ、のび太くん……」

やった……やってやった……やったんだ、僕はやったんだ!
罪悪感よりも、大きな達成感が僕の心を占めていた。

スネオ「の、びた……」

まだ息があったようだ。
スネオを冷たい目で見下ろす。
僕の表情と、手に持った包丁で、スネオは全てを悟ったようだ。

スネオ「そ……か……ご、ごめ……んな……のび……」

彼はそのまま息絶えた。
なんでだよ……なんで謝るんだよ!!!
あれから数時間後、スネオの死体が発見された。
翌日にはテレビや新聞で大きく取り上げられていた。
犯人の検討は皆目つかないらしい。
あの得体の知れない自称ロボット、ドラえもんの進言通り、指紋を残すようなヘマ
はしなかった。
あれから数日……僕は……どうしようもない罪悪感に苛まれていた。

そんな時、更に三日後の夜、僕は電話でジャイアンから呼び出された。

のび「……僕だって、バレてるのかな?」
ドラ「知らねぇよ。それで、どこに呼び出されたんだい?」
のび「裏山さ。昔、いつも一緒に遊んだんだ」
ドラ「そりゃいい!絶好の殺るチャンスだぜ!!」
のび「……でも、僕はもう……」
ドラ「こんな時は……金属製バットォ〜♪」
のび「……これで殺れって?冗談言うなよ」
ドラ「案外殺傷能力は高いんだぜ、後頭部思いっ切りぶん殴れば一発さ」
のび「でも……」
ドラ「オイオイ、今更怖気づいたのか?ビビってんのかよ」
のび「……分かったよ、やるよ、やってやるさ」
ママ「のびちゃん?こんな時間にどこへ行くの?」
のび「……散歩」
ママ「スネオさんのことがあったばかりじゃない!夜出歩くのは危ないわ!」
のび「ママは……ママは、僕なんかいない方がいいんでしょ!?放っておいて
よ!!」
ママ「ご、ごめんなさい……言い過ぎたの……あんなバカなことを言ったママを許
して……」

「死んでしまえ」と叫び、僕は家を出た。
裏山には、既にジャイアンが到着していた。
僕はバットを後ろの服の中に隠し、ジャイアンに近づいていった。
ジャ「よう、遅かったな」
のび「うん……」
ジャ「スネオのことなんだ……」

僕は身構えた。

ジャ「あいつが殺された時……あいつ……お前の誕生日プレゼントを買った、帰り
だったんだ」
のび「えっ!!?」

僕は、そう、それこそ死ぬほど驚いた。
まさか、あの紙袋が……ブランド物の、服……?
スネオが、まさか僕に……

ジャ「一体何がどうなってんのか……俺、頭わりぃからよ、気が動転しちまっ
て……お前、犯人が誰か検討つかないか?もし見つけたら……俺は、犯人を殺しち
まうかもしんねぇ……あいつ、俺の一番の親友だったんだよ……クソッ!!」
のび「さぁね……僕には分からないよ……」

僕は必死に冷静さを取り繕って答えた。
ジャ「なんか危ないことに巻き込まれたんだろうか……。のび太、お前がどう思っ
てるかは知らねぇが、俺たちはガキの頃からの付き合いだ。俺はお前のことを親友
だと思っている。なんかあったら、いつでも俺を呼べよ。すぐ助けに行くかん
な!」

僕はショックだった。
ジャイアンがこんなことを言うなんて、思ってもみなかったから。

ジャ「お前、ケータイ持ってたよな?一応俺のアドレスと電話番号教えておくか
ら、なんか危ないと思ったら、すぐに俺に電話しろ。いいな?」
のび「……うん、分かった。でも僕、ケータイの使い方よく分からないから、アド
レスの登録はジャイアンがしてくれないかな?」
ジャ「おう。……安心しろよ、お前には、いつだって俺と……俺と、スネオが、つ
いてんだからよ……」

僕のケータイを涙目で操作するジャイアン。
……殺るなら、今だ。
でも殺してしまっていいのだろうか?
こんなに自分のことを思ってくれているのに?

ドラえもん(――オイオイ、今更怖気づいたのか?)

……いまさら、何を言っているんだ、僕は。
もう後には退けない。第一、こいつには何度も泣かされてきたじゃないか。
さぁ……行こう……。

じんじんと手に痺れが残る。
ジャイアンは頭からどす黒い血を流したまま、ぴくぴくと痙攣していた。
このまま放っておいても、すぐ死ぬだろう。
すぐにトドメをささなければならないと思ったが、突然恐怖に駆られ、僕は一目散
にその場から逃げ出した。
ドラえもんの言った通り、証拠だけは残さないようにと、自分のケータイだけはひ
ったくっておいた。
慌てていたためか、家とは全く逆方向の繁華街の方へ出てしまった。
公園の水道で思い切り水を飲み干す。
少し落ち着いた。
そのまま暫くベンチで休んでいると、僕は見てはいけないものを見てしまった。

しずかちゃんと出来杉が、ホテル街の方から出てくるのを……。

僕の中に再び、どす黒い感情が沸き上がってきた。
だけれど……相手は、しずかちゃんだぞ……?
いや、やっぱり……僕は……。

ドラ「殺るのかい?」

飛び上がるほど驚いたが、そこにはドラえもんが立っていた。

のび「でも……しずかちゃんは……」
ドラ「すぐに男と寝るような売女に成績優秀なことを鼻にかける糞野郎、あんな奴
ら、いない方が世のためさ、ハハッ!」
のび「……そうだね。次のターゲットは、奴らだ……」

僕は、狂っていたのかもしれない。

のび「しずかちゃん、出来杉ッ!ジャイアンが、ジャイアンが大変だよ!」
しず「のび太さん……どうしたの?」
出来杉「剛田君がどうしたって!?」
のび「あっちの廃工場で血まみれになって倒れていたんだ!急がなきゃ、死んでし
まうよ!」
出来杉「なんだって!?」
しずか「すぐに行きましょう!」

こうして二人をまんまと人気のない廃工場に連れ出すことに成功した。
おめでたい奴らだ、ジャイアンは今頃、裏山でとっくに死んでいるさ……。

出来杉「のび太くん、それで、剛田く……ぐっ!……何を……」
のび「あれぇ?外れちゃったよ。でも鎖骨はイっちゃったみたいだね」

ドラえもんの言う通り、金属バットっていうのは思った以上に強力だった。

しずか「の、のび太さん……あなた、一体何を……」
のび「これはね、粛清なんだ、天罰なのさ。ねぇ、ドラえもん?」
ドラ「アーッハッハッハ!言うに事欠いて天罰ときたか!相当頭イっちゃってるん
だな、のび太くんよぉ!」
しずか「ドラえもん……?のび太さん、これは一体……」
のび「はいはいはいはいもういいよ。穢れた君からはもう何も聞きたくない。死ね
ばいいんじゃないかな」
出来杉「そうは、させない!」

いつの間にか立ち上がっていた出来杉が僕の腕を掴む。
必死に振りほどこうとするが、中々力があって巧くいかない。
そこで僕は、念のためにと持ち歩いていた包丁を取り出し、出来杉の太腿を抉って
やった。

出来杉「ぐわあああああ!!!!」
しずか「出来杉さんっ!!!」
のび「僕のしずかちゃんに手を出すからこうなるんだよ……さぁ、しずかちゃん、
君もすぐに、楽にしてあげるからね……」

しずか「いや……やめて……」
のび「穢れの知らない君に戻してあげるだけさ。さぁ、怖がらないで……」
しずか「一体どうしたの?優しかったのび太さんはどこへ行ってしまったの?」
のび「優しかった……?ふざけるなァ!!!この偽善者が!!!!!」

僕が包丁を振り上げた、その時だった。

???「そこに誰かいるのかっ!?」

誰かが入ってきたようだ。
僕はしずかちゃんの口を押さえ、必死に機械の陰に隠れた。

???「おい、大丈夫か?しっかりしろ!!」
出来杉「僕はいいから……しずかを……この中に……」

糞!糞っ!!
どうして邪魔をするんだ!!
僕はただ、正しい道に戻りたいだけなのに……。
ドラ「邪魔するってんなら、アイツも殺しちまえばいいんじゃないのか?」
のび「ドラえもん……」
ドラ「二人殺るのも三人殺るのも同じだぜ、フヒハハッ!!」

しずかちゃんが、恐ろしげな表情で僕達の会話を聞いている。
この表情……フフッ、ざまぁみろ、この売女め!!!
そうだ……僕は……
邪魔をするのなら、殺してやる……ッ!!


ぴろりろりろ〜♪


不意に僕の携帯電話から着信音が流れた。
まずい!早く消さなきゃ位置がバレる!!!??
もう……バレたか……?

???「……やっぱり……お前だったのか、のび太……」

そこには頭から血を流したジャイアンと、彼を支える警官が立っていた。

のび「……と、言う訳なんです。全ては天罰なんですよ、刑事さん」
刑事「ふぅん、天罰ねぇ……」
のび「全てはドラえもんとの出会いから始まりました……おいドラえもん、さっき
から黙ってないで、君も何とか言ったらどうだ?」

ドラえもんは、机の上にちょこんと乗りながら、目を瞑り、ずっと黙っていた。
なんて使えない奴なんだ!!

刑事「で、そのドラえもんっていうのは、この人形のことか?」
のび「人形じゃなくて、ロボットらしいです。なんでも未来からタイムマシーンで
来たとかで……まぁ信じられないかもしれませんね。僕も始めは何をバカなことを
と疑いましたよ」
刑事「ふぅん……」

隣の部屋からママたちの声が聞こえてくる。

刑事B「ご覧のように、あの人形を未来から来たロボットだと信じ込んでいるよう
です」
パパ「なんてことだ……」
ママ「最近、ずっと部屋で独り言ばかり言っていたから……私が早くに気付いてあ
げられていたら……」
刑事B「精神鑑定を急ぎます。減刑の対象になるかもしれませんから……」
パパ「ママ……もう泣くのはやめなさい。のび太を、これからも僕たちが支えてい
かなければならないんだ。母親の君がそんなことでどうする?」
ママ「……ええ……分かって、いるわ……」

ママもパパも、おかしなことを言うなぁ。
ドラえもんが人形だって?ハハッ、バカらしい。
ねぇ、そうだよね、ドラえもん。ドラえ……もん……。

ドラ「あっはっは!!頭の弱い奴で助かったよ!最後にはアイツホントに狂っちゃ
って、僕のことを人形だと思ってたんだぜ?」
ドラミ「……いくらなんでも、ここまですることはなかったんじゃないのかし
ら?」

異次元空間、タイムマシン内。
ドラミの冷たい声が響く。

ドラ「何言ってんだよ、あのままだったら、のび太君は自殺してたんだぜ?
  21世紀、革命的なロボット工学の権威となるべく生まれた男、野比のび太。
  どこで時代が狂ったのやら、彼が自殺するように時代は変わってしまった。
  それを正すには、少年院の中で平穏に暮らすのが一番いいのさ」
ドラミ「だからって……スネオさんという犠牲者を出してしまったじゃない……」
ドラ「あーん?お前、ちゃんと報告書読んでんのか?コイツ、未来で何度も詐欺繰
り返して捕まってんだぜ。今死んでおいた方が、後の時代にいい影響が出るっても
んさ、ハハッ!」
ドラミ「……。歴史は、お兄ちゃんの意思一つで変えてはならないものだわ」
ドラ「フヒハハハッ、せっかく超法規的措置で時間通行許可が手に入ったんだ、少
しくらい『良いこと』しても、バチは当たらないさ」
ドラミ「……狂ってるわ……」
ドラ「ハハッ、素敵な言葉をありがとう」

ピーピーとアラーム音が鳴り響く。

ドラミ「……あら、指令よ。もう一度時間を戻り、今度はマトモな方法で野比氏を
助けろ、ですって」
ドラ「おーいおい、僕の努力は無駄になった訳かい?」
ドラミ「今度は私が行くわ。今度こそ、彼を救ってあげなきゃ……」
ドラ「歴史を変えようだなんて、そんな奴にゃ善人なんていねーわな。お前のその
考えだって、所詮は単なるエゴだぜ?」
ドラミ「……自覚はね、してるわよ」
ドラ「フヒハハハッ、それじゃ、またワープするぜ?」
ドラミ「ええ、お願い」
ドラ「クククッ、今度はアイツ、どんな顔しやがるのかなぁ……」

過ちの連鎖は繰り返す。

〜完〜
























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